コミュニケーション。
それは対人関係の基本であり、私たちにとって最も身近な行為の一つです。
それにも関わらず、意外と多くの人がコミュニケーションに対して苦手意識を持っています。
「何を話せばいいかわからなくて、ずっと黙ってしまう」
「失敗したらどうしようと考えてしまって、結局何もできない」
「沈黙が続くのが怖い。何か面白く返さなきゃとプレッシャーを感じる」

あなたもこのように感じた経験はありませんか?
実は私自身も、かつてはそうでした。
私たちはどうしてコミュニケーションに苦手意識を感じるのか。
その原因を知り、どうすればよいかを知ることでコミュニケーション能力は徐々に改善していきます。
この記事では、初対面でも気楽に会話を始められるように、論理と具体例でコミュニケーションを解説していきます。
抽象論や感情論ばかりの解説にうんざりしているあなたも、ぜひ普段の会話で試してみてください。
■ なぜコミュニケーションに苦手意識を感じるのか?
コミュニケーションが苦手=性格の問題
だから自分の性格だとダメなんだ…
あなたもこのように考えていませんか?
でも、実際はそうではありません。
コミュニケーションの苦手は性格よりも、知識不足・経験不足の影響が大きいんです。
中でも、苦手意識の本質は、
✅正しいやり方を知らない
(どうすれば会話がスムーズになるかの“答え”を持っていない)
✅相手の真意を読み取れない
(表面的な言葉だけにとらわれてしまう)
この2つが大きいと私は思います。
実際、自分自身も昔は雑談が苦手でした。
A「この前、美味しいパスタの店を見つけたよ」(良いお店を教えたい)
私「…よかったね」(何て返したらいいんだろう??とりあえず無難に)
A「………」(この人は情報交換にあまり興味ないのかな?)
相手が何か話題を振ってきても、「会話の正解が分からない」から動けませんでした。
B「今日はいい天気ですね」(この人と少し雑談で交流したいな)
私「そうですね」(今日は晴れているし同意しておこう)
B「………」(この人は私と交流したくないのかな?)
相手の真意が分からないから表面上の返答をしていました。
実はこのパターン、過去の私も含めて多くの人が無意識にやってしまっています。
この2つの要因を知ることが、苦手意識の克服につながると気づいたのです。
つまり性格だから仕方ないのではなく、正しい知識と経験を積めば改善できるのです。
■ なぜ一般的なアドバイスは役に立たないのか?
「なるほど、知識を積めばいいんだな!」
そんなあなたもどこかで見たかもしれませんが、コミュニケーション改善のよくあるアドバイスは、
「勇気を出して話しかけよう!」
「相手の立場に立とう!」
「心を通わせよう!」

このような抽象論や感情論ばかりです。
正直、「勇気を出して話しかけよう」って言われても、じゃあどう勇気出すんだよ?って感じですよね。
それに、「相手の立場に立とう」ってどうやるの?
抽象論や感情論からは、やり方が見えてきません。
だから結局、行動に移せないのです。
このようなアドバイスが刺さらないのは、具体的な方法が分からないことが大きな要因のひとつです。
ここでは、「相手の立場に立つ」ということを取り上げてみましょう。
たとえば、自分にとっては褒め言葉でも、相手にとっては嫌味に聞こえる言葉があります。
例としては「バイトなのに仕事できるね」
これは、私たちが他者と接する際に自分の感覚を基に、相手も同じだという前提で接する性質があるために生じるのです。
心理学ではこれを“投影バイアス”と呼びます。
簡単に言えば“自分の感じ方を相手も同じだろうと決めつけてしまう癖”です。
つまり、「自分は平気=相手も平気」という投影バイアスを持っている限り、相手視点を持つことなどできないのです。
まずは“相手と自分は違う”と知ること。
ここからが、具体的に改善していけるスタート地点なんです。
◎ 突破口は『違い』を前提に“共通点”を探すこと
先にお伝えしたように、私が苦手意識の突破口を見つけたのは「相手と自分はそもそも違う」という事実に気づいたのが始まりでした。
感覚が違う
興味が違う
面白いと思う基準も違う
その前提を理解して、「相手の価値観」を知り「自分も共有できる部分」を探す。
この“共通点”を意識してコミュニケーションをとることで、会話が噛み合うようになりました。
つまり、「相手の立場に立つ」を論理で整理するとこうなります。
1.相手の価値観を理解する
たとえば、相手が最近興味を持っているものや、暇な時によく見る情報などを聞いてみます。
そして、旅行、スイーツ、お笑い、怪談が好きだという価値観を知ることができました。
2.その中で自分と重なる部分を見つける
先ほどの相手の価値観に対して、自分も旅行とスイーツが好きなことに気付きます。
3.そこを軸に会話を広げる
たとえば、最近行った旅行先での経験談、最近食べたおいしいスイーツの感想を聞いたり、相手におすすめの旅行先やスイーツの情報を伝えてみましょう。
1~3を踏まえた会話例
相手「最近京都に旅行してきたんだ」
あなた「へー、京都ではどこに行ったの?」
(自分が興味のある話題に対し、深掘りの質問)
相手「鞍馬山と貴船神社に行ったんだ。川床でお昼を食べたんだけど風情があったよ。」
あなた「川床だと夏場も涼しくて気持ちよさそうだね。そういえば、行きの電車に乗る前に豆大福で有名なお店があるんだけど知ってる?」
(お互いの興味に基づいた新たな話題の提供)
相手「え?なになに気になるな~」

このように「相手の立場に立った」コミュニケーションを意識することで自然と続く会話を展開することができます。
つまり、“相手の世界を覗いてみる→自分の世界とつなげる” 。
これが相手の立場に立ったコミュニケーションを取る際のコツなんです。
■コミュニケーション苦手改善のヒント
「相手の立場に立つこと」は大切ですが、それだけでは足りません。
相手の“本当の気持ち”を読み取れるようになることも欠かせない要素です。
言葉だけで判断すると「興味があるのかな?」「本音なのかな?」と迷うことも多いですよね。
そんな時にヒントになるのが ノンバーバル(非言語)コミュニケーション です。
つまり「言葉以外のサイン」──表情や視線、姿勢などが相手の気持ちを推測するヒントになります。
ここでは日常でよく使える3つのポイントを紹介します。
① 表情から分かるサイン
人は感情を隠そうとしても、表情にはつい出てしまうもの。
例えば、口では「あなたの話は面白い」と言っていても、笑顔がぎこちなければ興味が薄い可能性があります。
笑顔・目が輝いている → 興味あり、好意的
眉間にシワ・口がへの字 → 不満・困惑のサイン
※注意:あまり表情に出さない人もいます。「無表情=興味なし」とは限りません。
② 視線から分かるサイン
視線は気持ちを正直に映しやすい部分です。
あなたの話を聞いているときに…
目を合わせてくれる → 関心や信頼のサイン
そらす・チラチラ時計を見る → 退屈、早く終わってほしいサイン
※注意:目を合わせるのが苦手な人もいます。1つの判断材料として見るのが大事。
③ 姿勢から分かるサイン
体の動きも感情をよく表します。
前のめりで話を聞く → 興味津々
腕を組む・体をそむける → 警戒心や距離をとりたい気持ち
※注意:腕組みが癖の人もいます。これだけで「興味がない」と決めつけないようにしましょう。
◎ひとつのサインで決めないことが大事
表情・視線・姿勢を「セットで」観察すると、相手が本当に自分の話に興味を持っているかどうかが見えてきます。
大事なのは「1つのサインで即判断しない」こと。
相手をよく観察し、いくつかのサインを組み合わせて見ることで、相手の真意がよりクリアに分かるようになります。

■ まとめ
・コミュ障は「性格」じゃなく「方法を知らないだけ」。
抽象的な話や感情論じゃなく、論理と具体的テクニックで改善できる。
・相手と自分は違うと理解する
違いを理解したうえで相手と自分の価値観の共通点を見つける。
・言葉だけでなく、相手の態度などから真意を読み解く
言葉以外のサインを読み取り、相手の真意を理解することが大事。
これらを少し意識するだけで、コミュニケーションは確実に変わります。
「性格だから…」と諦めず、小さな一歩を踏み出してみてください。
その先は、きっとこれまでとは違う会話の楽しさに出会えるはずです。

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