「言いたいことがあるのに言えない」
「感情的に言われると、何も返せなくなる」
交渉や話し合いの場がとにかく苦手という人は、実は少なくありません。

「私って交渉が下手なのかな…」
でもそれは、あなたに“才能がない”からではなく、 交渉や話し合いを「感情の戦い」だと誤解しているからかもしれません。
意外と交渉や話し合いって、技術やマインドで有利に進めることができたりします。
本記事では、交渉や話し合いに苦手意識を持っている方に向けて、交渉や話し合いのポイントや、冷静かつ合理的に相手を動かす交渉術を紹介します。
交渉や話し合いで「損しないための武器」を手に入れたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
「自分のゴール」を明確にすることから始まる
あなたは交渉や話し合いで一番大事なことは何だと思いますか?
駆け引きや意見を主張することでしょうか。
それとも妥協すること?
実は、交渉や話し合いで一番大事なことはどこで終わるか、つまり自分のゴールを明確にすることが最重要です。

それが設定されていない交渉や話し合いは、いわば無限マラソン。
走っても走ってもゴールが見えないなんて、想像するだけでも恐ろしいですよね。
なので、どんな交渉や話し合いでも、まず大事なのは、「自分が何を望んでいるのか」をはっきりさせること。
・自分はどうしたいのか
・相手にどうしてほしいのか
この“ゴール地点”が曖昧だと、 相手の主張に振り回されたり、余計な感情に巻き込まれたりします。
今までの出来事を思い出してみてください。
ゴールが曖昧だったがゆえに、いつの間にか“話を聞く側”ばかりになっていませんか?
逆にゴールが明確なら、交渉や話し合いの流れも見えてくるし、 落としどころも冷静に探せるようになります。
だからこそ、始める前に「自分のゴールは何か?」を言葉にしてみてください。
自分のゴールが定まったなら、もう迷うことはありません。
交渉や話し合いは、そこから始めればいいのです。
感情に流されずに進める
よし、ゴールは決まった。
いざ、交渉だ!
「…ちょっと待った!」
今のマインドで大丈夫?
感情をしっかりと落ち着けないと、損してしまうかもしれません。
交渉や話し合いの中で、特に意識してほしいのは自分の感情です。
交渉や話し合いをしていると、時にヒートアップすることもあるでしょう。
でも、相手が感情的になったとき、 あなたも感情的に反応してしまったら、それは相手のペースに乗ることになります。
感情が動いたら実況開始!
相手の主張にイライラして、つい感情的になってしまった。
あなたもそんな経験はありませんか?
相手がどれだけ感情的でも「常に冷静であれ」。
気持ちがモヤモヤしてきたら、一旦俯瞰視点に立って頭の中で実況してみましょう。

「さあ、交渉が始まりました。それでは各選手の様子を見てみましょう。」
「おっとー、相手方〇〇選手、盛大にキレたぁー!」
「対するこちら、私選手もキレてるー!」
「両選手、どちらもキレていますー、大人げないーっ!」
…なんて実況が脳内で流れたら、すぐに深呼吸です。
このように、今の状況を俯瞰視点で頭の中で実況してみると、自分の感情を冷静にとらえて落ち着くことができます。
でも、相手が感情的になったままだと交渉や話し合いも進めにくいですよね。
感情的な相手にはスマートに
感情的になっている相手。
――そんな時はパンチ!
…とはいかないので、ここで効果的な方法を一つ紹介します。
そこで有効なのが「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」です。
・必要に応じて相槌を打つ
・真剣な表情で相手の主張を聞く(または聞くフリ)
・相手の目をしっかりと見る(シャイな人は相手の口元を見ればOK)
無理に相手の感情をすべて真に受ける必要はありません。
要は相手の話をしっかり“受け止めようとする姿勢”が相手に伝われば、それだけで十分です。
交渉や話し合いは、言葉だけではなくノンバーバルコミュニケーションも重要です。
感情的な相手は、真剣に話を聞く姿勢を示すことで次第に落ち着いてきます。
相手が落ち着いてきてから、冷静に話を続けましょう。
主導権は“空気”から生まれる
自分や相手を落ち着かせる方法は分かった。
じゃあ、どうやって交渉や話し合いを有利に進めるの?
そのキーワードは空気です。
交渉や話し合いの場では、戦略的に空気をつかむことがカギになります。
空気をつかむと言っても、雲のように漂っているだけでは相手の思うつぼですよ。
流されるのではなく、場の空気をうまくコントロールできれば、交渉や話し合いを自分に有利な流れに持ち込みやすくなります。
たとえば…
・先に口火を切って主導権を握る
・最初は手の内をすべて明かさない
・相手に選択肢を与えるように見せかけて、自分に有利な選択肢を提示する
こうした細かい“場の設計”が、交渉や話し合いを優位に運ぶための構造です。
可能な限り“空気を支配する”こと。
それが交渉や話し合いを有利に進める本質です。
「え、でも私は支配とか争いとかが苦手で…」
大丈夫!
「和を以て貴しとなす」
多くの日本人はこの文化で育っているため、基本的に争いごとを好みません。
何よりも、交渉や話し合いのスタイルは自分の特性に合っているかどうかの方が大事です。
自分に合った“やり方”を選ぶ
交渉や話し合いのスタイルに「正解」はありません。
駆け引きが苦手だと感じるなら、無理に論理バトルを仕掛ける必要はありません。
たとえば「お互いにできるだけ損をしない方法を一緒に探す」という協働スタイルも、立派な交渉や話し合いの形です。
戦う交渉も、譲り合う交渉も、どちらも“技術”であり、“選択”です。
自分にとって自然なやり方を選ぶこと。
それが、最も続けやすく、成果にもつながります。
「断る=悪いこと」ではない
交渉や話し合いを語る上で無視できないのが「断る」ことについてです。
多くの人が「断ることは悪いことだ」と無意識に思い込んでいます。
日常生活の中で断ることを躊躇する人も多いですが、 交渉や話し合いの場では、「断る=悪いこと」というわけではありません。

むしろ、交渉や話し合いの中で断りたくないからと曖昧にしたことが、後でトラブルになるということもよくあります。
A:「じゃあ、〇〇について、できるだけ早めにお願いします。」
B:「わかりました…(はぁ…、今は忙しいから後回しにしよう)」
…この後どうなるかは、あなたも容易に想像がつくことでしょう。
このような事態を避けるためにも、交渉や話し合いでは
・できないことは、毅然と断る
・相手にどう思われるかは“相手の問題”
・断ることで失われる関係性なら、それまで
このように考えた方が精神的にも安全かもしれません。
交渉や話し合いとは正直な合意をつくること。
不誠実な遠回しよりも、誠実な拒否のほうが信頼されます。
心理学の武器を“こっそり”使う
ここまでで、交渉や話し合いを冷静に、そして自分らしく進める準備は整ってきました。
でももし、「もう少し有利に進めたい」と思ったら、心理学的な技術を“こっそり”使ってみるのもおすすめです。

ここでは、交渉や話し合いの場面で使える心理学的な技術を5つご紹介します。
✅ダブルバインド(選択肢を与えて主導権を握る)
相手に「AとB、どちらにしますか?」と選択肢を提示し、どちらを選んでも自分に有利になるように誘導する方法です。
相手は自然と断りづらくなる構造です。
✅イエスセット(「はい」と言いやすい流れを作る)
相手が「はい」と答えやすい簡単な質問や同意をいくつか続けてから、本命の依頼や提案を出す方法です。
流れで「はい」と言いやすくなり、承諾される確率が高まります。
✅ラポール形成(信頼関係をつくるためのミラーリングやペーシング)
相手の話し方やしぐさ、ペースに自分の話し方やしぐさ、ペースを合わせたり、共感的な態度を示すことで「この人は自分を理解してくれる」と感じさせ、信頼関係を築く手法です。
✅フット・イン・ザ・ドア(小さな依頼から始めて大きな了承へ)
最初に小さなお願いをして承諾してもらい、その後で本来の大きな依頼をする方法です。
「最初にOKしたから、次も断りにくい」という心理を利用します。
✅ドア・イン・ザ・フェイス(大きな要求で断らせてから本命を出す)
最初に無理そうな大きな要求を出して断らせ、その後で本命の現実的な要求を出す方法です。
「最初よりはマシ」と思わせ、承諾されやすくなります。
どれも相手をコントロールするためではなく、自分が冷静に主導権を持つための“ツール”です。
交渉や話し合い以外でも、人間関係の中で“こちらのペース”で話を進めたいときの裏技として、知っておくと便利ですよ。
落としどころを見つける技術
さて、ここまでで交渉や話し合いのゴール、主導権の握り方から、感情のコントロール、心理学的な裏技までを見てきました。
当初想定した自分のゴールに到達できた!
それが交渉や話し合いの理想形ですが、人生、山もあれば谷もある。
まさに、インドを目指したコロンブスが何故かアメリカ大陸にたどり着いたように、時には思わぬ結果になることもあります。
しかし、当初のゴールにたどり着けないからと言って、“失敗した”というわけではありません。
本当に大事なのは「結果に納得できるかどうか」
――つまり、“納得のいく落としどころ”を見つけることです。
交渉や話し合いでは、その場で100点満点を取る必要はありません。
60点でも70点でも、お互いが納得できるラインを見つけられたなら、それは十分“成功”です。
では、どうやって落としどころを探るのか?
以下の3つのポイントを意識してみてください。
✅ 相手の“譲れない一線”を読む
相手が本当に守りたいことや、絶対に譲れない条件が何かを、表面的な主張だけでなく背景や理由も含めて見極めます。
これを知ることで、無理な要求を避け、現実的な落としどころを探しやすくなります。
✅ 自分の「引けるライン」を見極める
自分がどこまでなら譲歩できるか、あらかじめ整理しておきます。
全てを通そうとせず、「ここまではOK」「ここから先は無理」という線引きを明確にしておくと、交渉や話し合い中に迷いにくくなります。
✅ 合意と「納得感」の両立を目指す
最終的な合意だけでなく、「ちゃんと話し合えた」「自分の意見を聞いてもらえた」と感じられる、話し合いの進め方やプロセスへの納得感も大切にしましょう。
過程に納得できれば、多少条件が思い通りでなくても納得して受け入れられます。
交渉や話し合いは、「どちらかが勝つ」ではなく、「どちらも納得して終わる」が理想。
ゴールを奪うのではなく、“すり合わせる”という視点を持つだけで、交渉や話し合いはぐっと楽になります。
交渉や話し合いをするときは「落としどころ」も意識してみてくださいね。
あとがき
今回は「交渉や話し合いで損しないために」というテーマでお話ししましたが、いかがでしたか?
普段何となくするような交渉や話し合いも、しっかりと知識をつけて挑むことで、また違った結果に繋がる場合があります。
特に自分のゴールを明確にしていなかったために、「これでいいのかな?」と、何となく結果に不満が残るという経験は多くの方がされたことでしょう。
スタイルを問わず、ゴールを明確にすることは共通して重要なことなので、交渉や話し合いの前にしっかりと考えてみてくださいね。
なお、この記事の内容を使いこなすと、謎の黒服集団からスカウトがくるかもしれませんので、ご使用は計画的に。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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