「ちゃんと伝えているつもりなのに、なぜかいつも、誤解されてしまう…」
「言葉だけじゃ、相手に本当に伝わっているのか不安になる」
あなたは、このように他者とのコミュニケーションにおいて不安を感じることはありませんか?
SNSやチャットがコミュニケーションの主流になった今、言葉のやりとりは以前よりも増えているはずなのに、なぜか相手との距離が縮まらない、信頼が築けない。

そんな「違和感」に気付いている人は少なくありません。
実はその感覚は、言葉に偏ったコミュニケーションの限界が見え始めているサインかもしれません。
この記事では、そんな違和感の正体をひもとき、それを解消するためのヒントを紹介します。
あなたがより心地よく人と関われるようになる一助となれば幸いです。

実は、言葉は氷山の一角にすぎない
はじめに、少し一緒に確認してみましょう。
誰かに自分の想いを伝えたいとき。
あなたはどんなことに意識を向けていますか?
「ちゃんと説明すれば伝わるはず」
「言葉でしっかり伝えれば、相手もきっと分かってくれる」
そう信じて、言葉ばかりを頼りにしてしまう人は少なくありません。
でも実は、それが誤解やすれ違いの原因になっていることもあるんです。

伝えたつもりが伝わらない。
その多くは「相手がどう受け取るか」という視点が抜けているせいかもしれません。
言葉だけに頼ってしまうと、「自分が伝えたいこと」ばかりに目が向き、
「相手がどう受け取るか」が後回しになってしまいがちです。
だからこそ、コミュニケーションでは、「何を話すか」よりも「どう伝わるか」が重要になってくるんです。
そこでカギになるのが、言葉以外の表現。
表情、視線、ジェスチャー、声のトーンや間の取り方——
こうした「非言語」のコミュニケーションが、実は伝わり方の大部分を占めているんです。
メラビアンの法則
実際に、心理学者のアルバート・メラビアンはこんな研究結果を出しています。
【一般的にどの要素が相手の印象に影響を与えるか】
言葉の内容(言語情報):7%
声のトーンや速さ(聴覚情報):38%
表情やしぐさ、見た目(視覚情報):55%

つまり、私たちは相手の言葉そのものよりも、「どう話すか」「どんな雰囲気か」といった、非言語のコミュニケーションから、圧倒的に多くの情報を受け取っているということです。
では、そんな非言語の力を、どうやって日々のコミュニケーションに活かしていけばいいのでしょうか?
言葉の「裏側」にある本当のメッセージ
まず、ノンバーバル(非言語)コミュニケーションとは、簡単に言うと、言葉を使わずに行われるやりとりのことを指します。
ノンバーバルコミュニケーションと聞くと少し難しそうですが、意外と身近なものばかりです。
具体的には、こんなものがあります。
・表情や目線
・声のトーン、話すスピード、間の取り方
・姿勢や体の向き、動き
・距離感、沈黙の使い方
例えば、笑顔で「大丈夫」と言う人と、辛そうな表情で「大丈夫」と言う人。
どちらが本当に大丈夫そうかは、言葉よりもその空気感で判断されることが多いはずです。

これは、私たちが相手の「全体の印象」をキャッチし、無意識のうちに意味を読み取っているからです。
つまり、ノンバーバルを意識すると、言葉には出てこない本音が、なんとなく感じ取れるようになるんです。
では、こうしたノンバーバルは、どんな場面で活きてくるのでしょうか?
ノンバーバルが活きてくる場面は?
ノンバーバルの力は、実はさまざまな場面で発揮されます。
具体的には、こんな場面があります。
✅恋愛の場合
ちょっとした恋愛の場面を見てみましょう。
ある雨上がりの日、気になる相手と一緒に歩いていて、ふと見上げた空に虹がかかっています。
あなたがその虹を見て、静かに相手の方を見て微笑む。
相手も気付き、空を見上げてうなずく。
言葉はなくても、心が通ったような感覚が生まれる。
こうした瞬間には、「会話」以上のものが流れていると感じませんか?

✅仕事の場面
次に、職場ではどうでしょうか?
ある会議でプレゼンをすることになったあなた。
自分の案に自信はあるけれど、会場の空気はややピリついていて、何となくみんなの表情も硬い。
そのとき、上司が静かにうなずきながらこちらを見てくれる。
それだけで、言葉はなくても「お前を信じてるぞ」というメッセージが伝わってくる。
それに気付いたあなたは、自然と胸を張り、声も落ち着いてくる。
聴き手の表情も次第に柔らかくなり、空気が変わっていく。
そんな空気の変化を、あなたも感じたことがあるかもしれません。

✅家族や友人との日常
もちろん、家族や友人との日常でも活きてきます。
ある休日の午後、あなたは実家に帰って、リビングで親と並んでテレビを見ています。
特別な会話はないけれど、親がそっとお茶を差し出してくれる。
目が合って、お互いに軽く笑う。
言葉にすれば「疲れてるだろうから、少し休みなさい」かもしれない。
でも、そんな言葉はいらない。
ただその仕草と空気だけで、やさしさや安心感が伝わってくる。
家族や長く付き合った友人との間には、言葉がなくても伝わるものってありますよね。

このように、恋愛でも、仕事でも、家族との日常でも、ノンバーバルは活きています。
そして実は、例に挙げたような場面じゃなくても──
私たちの毎日のあらゆる人間関係の中で、知らず知らずのうちに、大きな力を発揮してくれているんです。
では、ノンバーバルの力を高めていくには、どうしたらよいのでしょうか?
ノンバーバルの力を高める3つのステップ
ここからは、実際にノンバーバルの力を鍛えるための3ステップをご紹介します。
① 観察する
まずは相手を「見る」こと。
相手の表情やしぐさ、目線、間の取り方などを丁寧に観察してみましょう。
例えば、相手の声のトーンがいつもより低いときや、視線が泳いでいるとき。
言葉では「大丈夫」と言っていても、どこか違和感を覚えることはありませんか?
このような「相手の雰囲気」を見ていくことで、表面上の言葉より深く伝わってくるものがあるはずです。

② 意識する
次に、自分のノンバーバルを意識します。
声のトーンは落ち着いているか
表情に柔らかさがあるか
姿勢は相手に向いているか
これらを少し整えるだけで、相手の受け取り方が大きく変わります。

③ 感じ取る
最後は「感じること」。
相手の空気や流れを読むには、細かな情報を「受け取る感覚」を磨く必要があります。
これは理屈ではないので少し難しいかもしれませんが、意識を少し静かにして「その場全体」を感じるようにすると、自然と感じ取る力が養われていきます。

初めのうちはよく分からないかもしれませんが、これらを意識して継続することで、何となく言葉にならないメッセージの力が分かるようになってきます。
少しずつでかまいませんので、継続することを意識してみてくださいね。
あとがき
今回は、言葉にならないメッセージ「ノンバーバルコミュニケーション」をテーマにお話しさせていただきましたが、いかがでしたか?
ノンバーバルを意識してみると、コミュニケーションがうまい人とは、「話し上手」より「感じ取るのが上手な人」かもしれませんね。
言葉にしない情報こそが、その人の本音や想いを伝えている。
そしてそれは、目には見えなくても雰囲気として伝わり、相手との距離を近付けてくれます。
私たちは言葉を知るが故に、本来のコミュニケーションの取り方が少しおろそかになっているのかもしれません。
SNSやチャットがコミュニケーションの主流になった今でも、やはりその場で感じる「空気」や「まなざし」が持つ力は、小さくありません。
たとえば、今日誰かと話すとき──
相手の目を少し見てみる。
声のトーンや、相手の呼吸のリズムに意識を向けてみる。
ほんの少しの違いでも、相手との心の距離が変わる感覚に気付くかもしれません。
伝えるより、伝わる人に。
きっとあなたの真摯な想いは、届くはずです。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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